うほほいシネクラブ (文春新書)

うほほいシネクラブ (文春新書)

オタクがもっとも愛するものは何よりもまず「精密で機能的なメカニズム」です。(……)
オタクは「決して裏切らないもの」に忠誠を誓います。
ですから、オタク男性の最初(にして最大)の偏愛の対象がしばしば「母親」であるのも当然のことです。(……)
「若く美しい女たち」にも、もちろんオタクたちは強い固着を示します。でも、それは彼女たちの行動が母親とはちょうど逆の方向に首尾一貫しているせいです。つまり、「若く美しい女たち」は「オタクの一途な愛を歯牙にもかけず一蹴する」という仕方において、決して彼らの期待を裏切ることがないからです。 いささか分析的な言い方になりますけれど、オタクたちはうっかりと「若く美しい女」との関係が好調に展開しそうになると、むしろそれを進んで台無しにして、「オタクに惚れる女はいない」という不易の真理を確認しようとします。むろん、本人たちは自分たちが無意識のうちにそんな行動を選択していることに気づいていません。(p54-55)

人を泣かせる言葉って、簡単だ。「おれの気持なんか、誰にも分からない」と力んでるひとに、「分かるよ」って(分からなくても)言ってあげればいいのだ。「分かるわけない」んだけど、「分かるよ」って(分からないのに)言ってくれるとじーんとしてしまう。
そうなのだ。
ほんとうの気持を知っている「せんちゃん」(小林稔侍)の「分かるよ」には泣かない健さんは、ほんとうの気持を知るはずもない「雪子」の「分かるよ」には泣いてしまうのだ。
嘘によってしか伝わらない真実があることに、嘘をついてでも超えたい距離があることに、嘘をつかないと超えられない距離があることに。私たちはすごく弱い。(p317-318)

まずいまずい、なんだろこの説得力ww
一番共感したのは、四月物語んとこ。もし、すこしかわいい女の子に生まれたとしたらって想像。ああ、男でよかったww