学問

学問

 せっかく得たものを逃がさないように、仁美は、体を揺らし続けました。あの時のように頬が熱くなって行きます。下腹と足の付け根あたりに、とろりとしたものが広がって行くようです。でも、それは、行き場を失って困っているようなのです。どうしてもらいたいの?と、泣きたい気持で問いかけたいのですが、声にはなりません。本当に、これは、いったい、どういうことなのだろう。病気?それはないと思います。だって、少しも具合なんか悪くないのですから。解りません。彼女に解っていたのは、これを始めたら、なかなか止められないという、そのことだけだったのです。胸がわくわくするという経験に慣れ親しんで来ました。けれども、今、胸よりもずっと下の方で、わくわくしているのです。お外に出て遊びたいよう、と何かが、そのあたりで、むずがっているのです。(p52-53)