法の力 〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス)

法の力 〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス)

「たぶん」と常に言う必要があるのは、たぶん正義のためである。正義のための未来が何かしら存在するし、また何かしらの正義が存在するのは、ある程度の出来事が可能である限りでのみのことだ。ある程度の出来事とはつまり、計算を超出し、さまざまな規則やプログラムや予測等々をことごとく超出するような、出来事と言うにふさわしい出来事である。正義とは、絶対的な他性の経験である以上、現にそこにあらしめる/現前させることのできないものだが、しかしそれは、出来事が出現する好機であり、また歴史なるものの条件である。(p71-72)