そして、明晰化の作業を「利口なお遊び」に終わらせないためには、それを「勇気をもって」おこなわなければならない。哲学における自分の仕事を考えながら、ヴィトゲンシュタインは「壊す、壊す、壊す」とつぶやいたと告白している。勇気をもって壊すこと――建築の明晰化とは彼にとってそんな破壊的な営みだった。その破壊の挙げ句に残されたのが、扉と窓のシステムによって秩序づけられた機械のような住まいである。(p173)<<